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2020.09.20

『タオと宇宙原理』〈27〉第一章 意識と科学 古代の叡智と量子仮説

◆電磁気力の驚異

「何故あなたは床に立っていられるのか」と問われたら、読者はどうお答え頂けるだろうか。脚腰がしっかりしてるから立っていられるに決まってるだろ!という返事が飛んできそうだが、実に、これには驚くべき事実がある。

 現代人ならあらゆる物質は原子で出来ていることを知っている。目に見える一切のものも見えない一切のものも、そしてこの筆者もあなたも、原子で出来ている。つまりはランチでてんぷらを食べたのはあなたではなく原子だったということになる。という話の流れになれば、その場所に立っているのは原子ということになる! そう、そこに立っているのは原子の集積であるあなたにすぎない。そのあなたが原子の作用としてそこに立っていられるのである。もし原子の、ある作用が働いていなかったなら、あなたはその地面や床の下を通り抜けてしまう、と言ったら信じてもらえるだろうか。別にオカルト話をしているわけではない。物理学を知る人なら答えは簡単だが知らないと絶対に分からない。

 そこで先ずは物理学が嫌いだった読者のために原子構造の説明をしよう。その典型的モデルの大きさ(直径)は一億分の一センチほどである。水素原子の陽子一個と電子一個の組み合わせを除くと、他の全ての原子はその中心に中性子と陽子とから成る原子核(核子ともいう)がありその周囲を核子の二千分の一強の極小の電子が回っている形である。太陽系の構造を想像すると理解が早い。いまや常識の原子であるが二十世紀初頭においては科学者の大半は「原子」は化学反応式を表わすための便宜上の概念と捉えており、その存在を信じてはいなかったのだから、この百年の科学の進歩は想像を絶するものがある。

(『タオと宇宙原理』第一章 意識と科学 古代の叡智と量子仮説 電磁気力の驚異)