BLOG

2020.09.02

『タオと宇宙原理』〈9〉第一章 ◆「信仰」の否定と「分別」という誤り

 しかし、物理学は新たな局面を提示し、いままで人類が信仰してきた「神」の概念の修正を迫ってきたのである。特にキリスト教に於いては人間イエスを神と概念化したことから、他の宗教とにおける絶対性にひずみが生じていた。欧米の科学者たちは、この点に於いて特に反キリスト教の立場に立ったということでもあった。その強力な呪縛からの解放が、哲学者のニーチェやハイデガーあるいはサルトルや、ウィトゲンシュタインらによって唱えられ、宗教からの自由こそが人間存在(実存)の肯定となり、物理学者の自己同一へと向かったのだと思われるのである

 そこに出現した物理の新分野であり決定的存在となった量子力学が〈存在の否定〉を示し、それを通して無意味という謬(あやま)った価値観へと転換させた一部の物理学者たちによって、無神論が先進国を中心に蔓延することになった。そこには同時に、宗教側のテロリズムに代表される行為や明らかな迷信の共存という愚か性が、一部の科学者に宗教を嫌悪させ拒絶させる方向へと向かわせることにもなった。それは知識人全般に言える傾向であった。

(『タオと宇宙原理』第一章 意識と科学 古代の叡智と量子仮説 「信仰」の否定と「分別」という誤り)