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2020.11.24

老子とタオ〈13〉

老子『清浄経』第6章を紹介します。

【第六章 人 心 品】

夫人神好清 而心擾之

 人の神には元神と識神の二神がある。元神は本来無極の態をなして体内に宿り、虚空無礙(むげ) である。無所得故無尽蔵の造化をなすことが出来る。識神は人の出産時の「オギャー」という第一声によって空気と共に体内に入り、無極元神と一体化する。それ以後識神が元神の座を奪い七情六欲生じて人心は擾(みだ)され転々流浪することになる。識は邪心知識に通ず。

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※虚空無礙 虚・空ともに無の別称であり、虚にして形質がなく、空であり、その存在が他のものの礙(さまた)げにならないこと。

※七情 喜・怒・哀・楽・愛・悪・欲または喜・怒・憂・思・悲・恐・驚。

※六欲 眼耳鼻舌身意の六つの感覚機官から生ずる様々な欲望。凡夫が異性に対して持つ六つの欲望。色欲・形貌欲・威儀姿態欲・語言音声欲・細滑欲・人相欲(『大智度論』)。

(『タオと宇宙原理』第七章 老子とタオ)