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2020.10.26

老子とタオ〈1〉

 今日から、『タオと宇宙原理』第七章「老子のタオ」に掲載した老子『清浄経』を紹介していきたい。

◆老子の世界

 「無極」といえば老子をもって他に語るべき適任者はいない。もっとも、そのことばそのものは後世語られるようになったもので、ここには見出せないのであるが、その義が明確に述べられている。老子の経とされている『清静経(せいじょうきょう)』は次のように語っている。

【第一章 無 極 品】

 老君曰(わつ) 大道無形 生育天地

 老子が曰(い)われるには、大道には本来形象はないが、能(よ)く天を生じ、地を育成することが出来る。

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※無極(むきょく)…(1)(形動)果てのないこと。限りのないこと。また、そのさま。無窮。(2)中国、道家の語で、きわまりない世界の根源をいう。のち、宋学にとり入れられ、易の「太極」と結びつけられ、宇宙の生成に先立つ存在として、宋学の重要な形而上的概念となった。(小学館『日本国語大辞典』)

※老君(ろうくん)…老子のこと。(不詳)中国古代の思想家。姓は李、名は聃 (たん) 。春秋時代末期、周末の混乱を避けて隠遁を決意し、西方の関所を通過しようとしたところ、関所役人の尹喜(いんき) に請われて『老子道徳経』二巻を著わしたとされる。儒家の教説に反論して無為自然の道を説いた。

※大道(だいどう)…人のふみ行なうべき、正しい道。根本の道理。老荘思想でいう無為自然の道。(小学館『日本国語大辞典』)

(『タオと宇宙原理』第七章 老子のタオ 老子の世界)