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2020.09.15

『タオと宇宙原理』〈22〉第一章 ダーウィンの直観とケルヴィンの数式

 ところが、これに対し地球物理学の立場から激しく反論してきたのがケルヴィンであった。彼は地球の中心部から微量の熱が放射されていることを根拠に、地球は誕生時点の溶岩状から徐々に熱が放射冷却されて現代に到っており、その冷却に要する時間から割り出して地球の年齢を四千万年内とし、ダーウィンの非科学的な態度に対し、一八七三年には「我々はダーウィンの一語一句について、その無益さ、ばからしさを指摘できる」と述べている。その後、地球の年齢を更に短く二千四百万年と発表した。この態度にダーウィンは腹わたが煮えくり返り、友人のアルフレッド・ウォーレスに「不愉快極まりない」と語っている。

 そして、ダーウィンの死後二十二年後の一九〇四年に、若きラザフォードの登場でダーウィンの直観が勝利することになった。彼は地球内部にラジウムなどの放射性物質が存在し、それらが熱を放出していることをつきとめ、地球の年齢がダーウィンが語っていた年数存在し得ることを、ケルヴィンが参加する学会で指摘したのであった。

(『タオと宇宙原理』第一章 意識と科学 古代の叡智と量子仮説 ダーウィンの直観とケルヴィンの数式)