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2020.09.14

『タオと宇宙原理』〈21〉第一章 意識と科学 古代の叡智と量子仮説

◆ダーウィンの直観とケルヴィンの数式

 直観と科学的計算のどちらが正しいかの逸話を紹介しよう。進化論のダーウィンと物理学者ケルヴィンが対立した地球の年齢問題でのことである。ケルヴィンより十五歳年上のダーウィンはビーグル号で世界を旅し、ガラパゴス諸島において鳥のガラパゴスフィンチやゾウガメが島ごとにその形を変えていることに着目し、その調査結果から進化論を提唱した。現在もなお、その基本概念を基に生物学が研究されていることは我々の知るところである。

 当時彼は、調べられる限りの化石や動植物を調査し、その結果一つの確信を得るに到っていた。それは、ざっと百万種に及ぶ生物の形は、太古はもっと単純であったに違いないということであり、その単純な形から現在の複雑な動物へと進化するためには、何億年もの年数が必要というものであった。一種類の動物の形態上に明らかな変化をきたすには、最低でも数千世代は必要と考えた。仮にその動物の寿命を十年で計算すると、子孫が半分の五年サイクルで生まれるとして、千世代で五千年ということになる。数千世代なら三万年くらいが経ってしまうことになる。そうなると一千万年などアッという間に過ぎてしまう。しかもこれは同種の範疇であり、アメーバからの相転移的進化となるとその比ではない。そこでダーウィンは直観的に、生物進化に何億年もかかっているなら地球はそれ以上の年齢であると考え、彼の直観的見解を学会に発表したのである。

(『タオと宇宙原理』第一章 意識と科学 古代の叡智と量子仮説 ダーウィンの直観とケルヴィンの数式)