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2021.05.09

老子とタオ〈19〉

老子『清浄経』第11章を紹介します。

【第十一章 虚 空 品】

観空亦空 空無所空 所空既無 無無亦無 無無既無 湛然常寂 寂無所寂 欲豈能生 欲既不生 即是真静

三心(過去現在未来心)を掃き四相(人我衆寿相)が除かれれば、内に心も形も物も存在しない。唯空のみ存在する。戯論・言説・世俗諦の空も言辞認識をもって得んとすれば再びと空じられてその終(とど)まる所がない。将に真空妙有の実相である。寂静も寂静に執われることなき真寂の域に至ればこれが真静である。

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※戯論(けろん) 形而上学的議論。無益な言論、無意味な話、それごと、たわむれ。

※世俗諦(せぞくたい) 一般的な真理。見定められない宇宙の原理がこの世に形となって現われたありのままの姿。

※真空妙有(しんくうみょうう) 真理ないし真如が一歳の妄想を離れて増すこともなければ減ることもない執着を離れた姿を真空と称し、常住不変であって、しかも現実を成立せしめる真実の有(実存)である点を妙有という。

(『タオと宇宙原理』第七章 老子とタオ)