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2020.10.22

『タオと宇宙原理』〈59〉第一章 量子仮説の大発見

 シュレーディンガーの「波動関数」は量子力学の最重要な方程式となった。その量子の波の性質についてはその時はまだ解明されていなかったが、ニールス・ボーアらが「物質波の確率解釈」を世に発表し、量子の波を実体と捉えていたアインシュタインらから猛反発を受けることになった。

 特に、観測者が見るまで量子はどこにも現われないとする「波束の収縮」について大論争になったことは有名である。「では君が見ていないときには月は存在していないとでも言いたいのかね!」 アインシュタインはコペンハーゲン解釈に対して苛立っていた。しかし、この論争はアインシュタインの敗北に終わった。「神はサイコロを振らない」。これもアインシュタインのボーアらに向けて発せられた有名な言葉である。そして、晩年のアインシュタインは統一場理論に固執しながらも完成させることが出来ずこの世を去った。プランクと並ぶ量子論の創始者の一人であり、相対性理論という画期的発想で物理学を牽引した天才アインシュタインにして理解できなかった量子の世界の不思議が「人間原理」の背景として措定(そてい)されている。

(『タオと宇宙原理』第一章 意識と科学 古代の叡智と量子仮説 量子仮説の大発見)