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2020.09.24

『タオと宇宙原理』〈31〉第一章 意識と科学 古代の叡智と量子仮説

9月22日に刊行した最新刊『タオと宇宙原理』の第一章を引き続きご紹介します。

◆世界で初めて地球の大きさを測ったエラトステネス

 さて、少し筆者の幼い時の体験を述べよう。古代ギリシャ人の偉大さについての話である。

 それは小学生の時だった。テレビ番組で古代エジプトに地球の大きさを測った人がいて、その人は井戸に出来た影を見て地球の大きさを測定した、と説明していた。その時の筆者にはその意味するところがよく理解できず、翌日学校で担任にそのことを話したのだが、そんな馬鹿な、お前の聞き間違いだろうと言われて、いたくがっかりしたものだった。今どきと違いネットでお気軽にちょっと検索なんて時代ではなかった。田舎だったので図書館なんてしゃれたものもなく、自分でそれ以上学ぶことは不可能だった。あの時その理科専攻の担任が誠実に対応してくれていたら、数学の虜(とりこ)になっていたに違いない。さらなる学びが出来ていただろうに誠に残念であった。筆者には失われた時となったあの「時」が生きていれば今頃は宇宙物理学などをやっていたかも知れない。

 この時の人物こそが東西文明が交流したヘレニズム時代にギリシャ領の古代エジプトで活躍したギリシャ人のエラトステネス(紀元前二七五~一九四)である。紀元前二三六年プトレマイオス三世によって彼はアレクサンドリア図書館の第三代館長に任命され、三十年以上にわたって務めた。紀元前一九五年頃に目が不自由となり翌年八十二歳(諸説あり)で没している。視力を失ったことで食を断ち自殺したと言われている。

(『タオと宇宙原理』第一章 意識と科学 古代の叡智と量子仮説 世界で初めて地球の大きさを測ったエラトステネス)